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プールサイドを走り回る霊と人間。
『ふふふ…あはっ』
「待てよ、このやろっ!」
人間はプールに常備されているバケツに水を汲み、霊に向けてぶちまけた。
『ひゃん?!冷たいな~』
半実体化しているのだろうか、霊は髪を、体を濡らし、まるで猫のような仕草でふるえた。
一度ぶるっと身を揺するとクスッと笑う。
『…お返しだよっ!』
「うわっ!?」
人間は霊の掛け声と共に、もう一度顔に水を叩きつけられた。
勝ち誇ったように笑っていた人間の顔が水圧で歪む。
『ふふっ…………ひっかかった!ひっかかった!』
跳ねるように笑う少女の顔。
人間はその顔を見て、真冬の水の冷たさなんか吹き飛ぶくらいの心の暖かさを感じていた。
無性におかしくてたまらなくなった。
だから…笑った。
「ふ…………ふ……ふは、ははははははは!」
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