終わり

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向こうへの憧れを抱いて握ったのは 口径数の知れないパースエイダー。 腰まで浸かった川岸で 俺はその引き金を引いた。 水の冷たさと波の荒さとを感じながら 生の泉を自然のものと一体化させ 自分の何かが薄れていくのを見た。 赤が取り巻く己の体は 軽々しく下流へ呑まれ去っていく。 ――そして目が覚めた。 青ざめた体は 無意識の内に 昔見た記憶の中の暖かさを求め 己の体から完全に失われた赤を求めた。 渡りきった先の岸では 多くの悲しみに満ちていた。 無情に這いつくばったそれ等は 向こうの世界を恋しがった。 『あんなにも残酷な世界を求めるのは…』 「その顔から察するに、何故に安らかなる眠りにつくはずの者共がこんな所で苦しみもがいておるか知ってはおるまい」 声がした方を見れば 薄汚れた衣をまとった老人が石に腰掛けていた。
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