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何気なく猫の方に歩み寄っていく。
猫は逃げようともせず、ただただこっちをジッと見つめている。
「よしよし。」
俺は猫の頭を優しくなでる。
猫はというと、のどを鳴らすこともなく、かといって嫌がりもせず、俺になでられたままになっている。
「お前はいい子だなぁ、ノラか?うちに来るか?」
人が見ていたら、俺のことを危ないヤツだと思うかもしれないが、仕様がない。
ペットを飼っていたことがあるヤツはわかるだろうが、思わず話しかけてしまうものだ。
「おまえはいいよなぁ、一日中寝てればいいんだから。俺なんか仕事忙しくて、寝てる時間も惜しいっていうのに…。
なぁおまえ、“俺の代わりに寝てくれないか”」
俺がそう言った途端、猫の目が急に光った。
「な、なんだ!一体!?」
俺の体は光に包まれ、視界が歪んだ。
「ちょ、一体なんなんだ!?」
そして、俺は光の中小さく見える暗い闇へと、引きずりこまれていった。
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