二人目のお客様

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ある日、俺がいつものように、部活中に見学しながら、素振りをしていると、10分休憩の時、石山が俺の方へ歩いて来た。 「石山、どうしたんだ?」 すると、俺の顔を見ずにこう言う。 「俺の叔父さんが言ってたんだけどよ。 眠り屋っていうのがあるんだってよ。 俺の叔父さんはその店のお陰で、大切なものに気付いたらしい。 おまえも今キツかったり、自分の道に迷ったりしてんだったら行ってみれば? 月夜に、猫に話しかけるんだとよ。 “自分の代わりに眠って”って。」 そうして、俺に背を向ける。 俺は石山の背中に向かって話しかけた。 「なんで俺にそんなこと教えてくれるんだよ。」 すると、背を向けたまま答える。 「おまえは俺のライバルだから。 練習のしすぎで怪我するとか、有り得ないぜ? 早く治して、レギュラーの座を奪いに来いよ。 こんな形でレギュラーになったって、嬉しくなんかない。」
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