一人目のお客様

4/31
前へ
/114ページ
次へ
チリンチリン と、ドアについているベルが可愛らしい音をたてた。 「いらっしゃいませ。お好きな席へどうぞ。」 中はちょっと洒落た感じの普通の喫茶店。 店内は壁も床も椅子もテーブルも、すべて木製だった。席は、2人用と3人用の丸テーブルの席が1ヶ所ずつに、4人用の四角いテーブル席が2ヶ所。そしてカウンターには5コの椅子が、1列に並べられていた。 俺は少し考えてから、奥から2番目のカウンター席に座る。 座ってから改めて店内を見回す。 狭すぎもせず、広すぎもしない店内。木製のもの達に囲まれているせいか、ほっとする。 「良い店ですね。」 俺は心からそう言う。 「そう言っていただけると嬉しいです。」 マスターが俺の言葉に答えてくれる。 マスターは暖かい雰囲気を持った人だった。 ただ、年齢とか、性別とかを特定出来ない、不思議な雰囲気を持っていた。
/114ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2357人が本棚に入れています
本棚に追加