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テストが終わった帰り道
いつものバスには乗らないで
海沿いの道を歩いて帰った
サエキがおごってくれた缶コーヒー
ミホが変な顔で笑わすから
思わず吹き出してしまった
隣りのクラスのこじれた恋愛話
うわさの二人を更にうわさしながら
結局はなるようにしかならないよねと
そっけなくコメントした
私たちはあまりにも純粋で
危ないくらい何かを信じていた
初夏の日差しに
制服が汗でにじんでも
なんだかそれが嬉しかった
通りすがりの飼い犬に
吠えたてられて驚いた
はずみで走りだしたミホと
甲高いサエキの笑い声が近くにある
追い越していく三本目のバス
乗っていたクラスメートの顔を見つけ
名前を呼びながら手を振り続けた
水平線の向こう側に
白い帆のヨットが浮かぶ
平凡でも
なんだかいつもドキドキしていた
私たちの夏は
始まったばかりだ
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