幽霊なアイツ

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   慌ててベットから飛び上がり、入口近くへの壁へと背中を預けた。   「おっ、良い反応」    司はクスクス笑っているが、衛にはそんな余裕は一切無い。  スルリと体も壁から出てきて、やっと全身が壁から現れた。   「そういやこの部屋来んのも久しぶりだよなあ。何ヶ月ぶりだっけ?」    知るか。  幽霊にもプライバシー侵害した時の罰則を作って欲しい。  切実なる願いは衛の胸の中だけで響く。   「……どこ行ってたの?」    頭に浮かんだ疑問を口から出せば、司はニカッと笑って答えてきた。   「ちょっと墓まで行って来てさ、じっちゃんとばっちゃんに会ってきた。とりあえず骨だけ先に来るからって言ったら笑ってたよ」   「生者が聞いたら笑えません」    衛の言葉に、司は腹を抱えて笑い出した。
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