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「明日…」
部屋に戻ってからもブツブツ言いながら狭い部屋の中を歩き回る司。
入り口近くにある勉強机に腰を乗せ、頭を両手で抱え何かを振り払うように頭を横に振って。
自分の体が明日焼かれてしまうのだから仕方ないが。
「私はね…」
「ん?」
そんな司の姿を見ていた衛が、ゆっくりと口を開いて。
「確かに司の体はなくなっちゃうけど、司はここに居る
司にはちゃんと温もりも心も残ってる
私はそれだけで嬉しいよ」
クスッと笑って心境を語った衛に、司は驚いた顔を隠せなくて。
「ちっきしょー…
俺の苦悩も解らねぇくせに」
「ごめんね?」
頭を抱えている司に謝罪を述べれば、微笑みながら「馬鹿」と言って抱き締めてきた。
温もりはちゃんと伝わってきて、優しい抱擁は確かにそこに存在して。
それが嬉しいと思うのはおかしいのかなと、衛は神様に問いかけた。
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