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とりあえず気をとりなおして私たちはリビングにいる。
ちなみに私は寝間着姿でいるのもなんなので少し待ってもらって普段着に着替えた。
「えーと、麦茶とコーヒーどちらがいいですか?」
「あ、じゃあアイスコーヒーでお願いします」
野郎、甘えて来た上に遠慮ってものがない!
まぁ、この暑い時期にあっついコーヒーを出されたって飲めるわけもないか。
私は「ちょっと待っててください」と言ってコーヒーを淹れるのに集中した。どうでもいいが備考として私は紅茶が淹れられない。(必ず失敗するのだ)
我ながら上手く出来たアイスコーヒーとガムシロとミルクをおぼんに乗せて、男の元に戻る。
相変わらず男は全くと言っていいほど動かず、大人しく座っていた。
「すみません。本来なら僕がするべき事なのですが、僕はまだこの家を把握しきっていないものですから……」
「いや、把握されても困りますけどね」
嫌味ったらしく言った(つもりな)のだが、男には効果がないようだ。
今冷静になって考えると、なぜ私はこの男を普通に迎え入れ(っつーか勝手に入ってた)、そしてわざわざ丁重にコーヒーまで出してもてなしているのか全くわからない。
「それで、あなた誰ですか?」
この状況でこの質問はかなり間抜けに聞こえるが、それでも男は先程からの仏頂面から表情を変化させることなく、口を開いた。
「僕は青嶋義樹です。今日は“青の軍団”の事についてお話に参りました。オーナー」
私は思わず戦慄した。
これは一体どういうことだ。
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