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「(ヤ、ヤバイ!仕事遅れるッ!)」
大須賀鈴(オオスガ リン)は自宅から自分の勤めている書店までの道を全力疾走していた。
「(後12分……間に合うかな)」
鞄の中からケータイを出して時間を確認する。(腕時計は昨日壊してしまった)
そして急いでケータイを元の場所へと戻すと、先程と同じように走り始める。
いつもは寝坊なんかしないはずの鈴だが、今日に限って寝坊をしてしまい、本来後20分で家を出なければならないところを約10分もオーバーして出てしまったのだ。
余裕を持って見積もってあったのだが、7分もずれているので、時間はかなりギリギリだった。
(けど、この短い時間の間にご飯食べて、歯磨いて、顔洗って、簡単だけど化粧も済ませれたなんて驚きだ)
道の角を曲がって商店街に入る。
このあたりはかなり人通りが少ないが、もうちょっと中心部へ行けば人通りも多くなる。
そこに鈴の勤めている書店がある。
――と、
「あ……あれ?」
違和感を感じ立ち止まる。
いつもと同じ道なのに、昨日とは明らかに違う気がしていた。
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