past.9

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「どこ行くん?」 「屋上」 「5時限は?」 「サボる」 素気なく返事をすると、俺は教室を横切る。 もちろん、屋上になんか行く気はない。 次の授業を受けるより、図書館で本を読んでた方がマシ。 次は国語。 5時限目の国語の授業なんて、眠くなるだけ。 ドンッ! 「わきゃっ!」 開け放たれているドアを出たら、誰かとぶつかった。 相手は女子らしく、俺は一歩下がるだけだったけど、相手は尻もちをついている。 「わりぃ」 「いえ、ごめんなさ…」 顔を上げた彼女は言葉途中で止めた。 そして、すぐ俺を睨みつけてくる。 そう、ぶつかった相手は東郷だ。 この関係も、何年も変わっていない。 俺は心の中で深くため息をついた。 次に来るセリフはわかっていたから。 「なんであんたに謝らなきゃいけないのよ!」 なんとも予想通りのセリフ。 もう、なんか罵られるのも疲れた。 「信じらんない!」 とりあえず、悪態をつく彼女の手を引っ張り立たせると、俺は何も言わずにその場をあとにした。 東郷への気持ちが冷めてる気がした。 いくら好きでも、相手には毛嫌いされてる。 それなら、俺を好きだと言ってくる他の女の方がいいのかもしれない。
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