雪美

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雪美はかなり落ち込んだが、プラスに考えることにしたのだ。ダイエット。それが雪美の出した結論だった。痩せさえすれば、そうすればケンジさんはまた振り向いてくれる!!雪美は必死だった、絶対にまた振り向かせてみせる!それまでケンジとは連絡を取らない!そう心に決め、食を絶つことにしたのだった。一週間程の後、嫌われたと思っているケンジは雪美との思い出を忘れることにした。そして前カノである秋子によりを戻さないか?といいよっていた。突然の言葉に秋子も戸惑ったが、これは棚からボタモチと喜んでOKした。その頃雪美はそんなことも知らず、行き過ぎたダイエットに苦しみながらも日々落ちて行く体重に楽しみまで覚えていた。もちろん両親は反対したのだが、あまりの必死さ故強くいえないでいた。そして時間は流れとうとう雪美はスラッとしたモデル並の身体を手に入れたのだ、ずっと心配していた、両親だったが娘のなんとも言えない嬉しそうな顔に、つい応援したくなってしまっていた。行ってきます!!か細くかすれた娘の声に、心がいたんだが、両親は笑顔で見送った。これでケンジさんは私に振り向いてくれる!!雪美は心踊っていた! が悲劇はまだ終わりではなかったのだ、あの事件の公園にさしかかった時、雪美は見てはイケないものを見てしまったのだ。雪美は立ちつくしてしまった。視線の先には、楽しそうに笑うケンジと秋子の姿があったのだ。・・・・・・・・ まだなのね。雪美は呟いた。もっと痩せればいいのね。Uターンして帰ってきた雪美に母親は驚いた。雪ちゃん?ママ、私努力が足りなかったみたい。娘の言葉に両親は怒りにかられた!!それを察した雪美は、両親を凛と見据えて腹を決めた武士の様に言った。 私は死んでもケンジさんと一つになりたいの!!その声はか細くも力強い声だった。・・・・・・・・・好きにしなさい。父親が言った。母親もその言葉に頷いた。でも忘れてはイケないよ、お前には私達がついてる!お前の願いは私達3人の願いだ!父親は泣きながら言った。有り難うパパママ。そして雪美は、また部屋に閉じ籠ったのだった。
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