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コインランドリー以外で、2人で会うのは初めてだった。
そのせいか、私は少しだけ緊張していた。
2人、洗濯物を入れた袋を抱え街中を歩いている。
コインランドリーを出てから、何故か2人無口なままだった。
隣を歩く彼の姿に、何か話しかけたいと思いながらも、ただ何も言えず歩くのが精一杯だった。
隣を走る、大きなアクセス道路の車のテールランプを幾つも見送りながら、2人歩き続ける。
そして、沈黙をやぶったのは、彼の方だった。
「何食うか?」
彼は、そう言いながら街中の店を見渡した。
「めちゃくちゃ美味しいラーメン食べたい。」
そう私が言うと、彼はびっくりした顔で私を見た。
「ラーメンって…俺は何でもいいけど、女って結構気を使うんだろ?スパゲティは口に着くから嫌だとか、ラーメンは汁が飛ぶから嫌だとか、ハンバーガーは大口開けなきゃならんから嫌だとか。」
彼はきっと、精一杯気を使ってくれてる。
それは、凄く良く伝わってきた。
私は逆に、あまり気を使われたくなかったのかもしれない。
私は、にっこり微笑んで…。
「だって、ラーメン好きだから。」
っと、言った。
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