幻 ~すべての始まり~

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    『ふぅ~』   口から白い煙が吐き出される まるで魂のように…   『光があってもたいして変わらないな…』   ライターの光を当てにするも、相変わらず辺りは暗闇だ コレなら光があろうが無かろうが、関係ない 光で照らされ見える範囲は、せいぜい自分の足まで   『オイルが勿体ない…』   そう思い火を消す   カチャンッ   オイルライターを閉じる音が、周りに響く   『コレからどうすれば良いんだ』   俺は宛てもなく歩き続ける タバコが半ば吸い終わり 捨てる長さに丁度よい時、微かな光が見えた   『あれは!?』   俺は手に持ったタバコを投げ捨て、急いで走った 走らなくては、あの光が消えてしまいそうだったから   『はぁはぁ!』   俺は全速力で走った そして、光の射す場所に飛び出す   『…………』   俺は暗闇を抜けた途端に、言葉をなくした それと同時に走ることも止めていた 暗闇を抜け、俺の目に映ったもの すべてを照らす 曇り一つ無い"月"   『……月?』   俺はその光を体一杯に浴びた すると何故だか、全身の力が抜けていった   バサッ…   俺はその場に倒れた かなりの疲労と、安心感が精神を襲ったんだろう その後意識も薄れていった…   ?≫ 「ん?何でこんな所に人間が倒れてるんだ? おーい、大丈夫か?生きてるか? 返事しろ~」   薄れ行く意識の中で聞いたのは、俺に喋りかけている女の声と、虫の声だった…    
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