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「あっ!」
「痛っ!」
「ご、ごめんなさい!白飛(ハクト)さん!!」
「…いいよ、気にしないで」
満面の笑みを浮かべるが、目は決して笑ってらいない。
…ホントにごめんなさい…。
ヒールはまだ履いていないとはいえ、全体重でのしかかれれば誰だって痛いだろう。
「大和撫子は、何でも出来るんじゃ?」
ため息をつく白飛さんに
「ワルツなんて問題外です!」
と声を張って主張する私。
そう。
ワルツだけでなく、カルテットなど…
パーティにダンスは必須。
しかし、正式なダンスなんて
私はしたこともなければ
見たことも無かった。
ずっと日本の文化をやって来たから…。
日舞なら、今すぐにでも簡単に踊れるのに。
「良く大和撫子になれたねぇ」
テストに出なくてラッキーだったね、と
白飛さんの冷やかな笑みが痛い。
全くダンスの出来ない私に
白飛さんが教えてくれることになったのだ。
しかし、白飛さんも、ここまで酷いとは思わなかっただろう。
さっきから足踏みまくりで
全く進歩が見えない。
白飛さん、怒りを越してとうとうため息までつきだした。
怖くて、顔を上げることさえ、はばかれる。
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