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『一年五組大神君、至急校長室まで来て下さい。繰り返します……』
そんな淡々とした口調の放送を耳にして、雅人はこっちに来てから何度目かの盛大な溜息を吐いた。
転校してから平和な昼休みを過ごしたことがあっただろうかと、この僅か数日を頭の中で振り返る。
しかし舞が昼飯を持って来ると思い待っていたが、まさか校長室に行くことになろうとは思ってもみなかった。
「何したの?」
「何したんだ?」
圭介と英二がほぼ同時に雅人に尋ねたが、無論何もやっていない……ことはない。
昨日の妖魔との一戦で、月読尊を廊下に深々と突き刺したという前科がある。
「取り敢えず行って来るか……校長室ってどこだ?」
「本館の一階だよ」
「大神、胸に手を当てて目を瞑ってみろよ」
「……心当たりが全くないというのは嘘だな」
雅人は教室を出て吐こうとした溜息を飲み込み、校長室へと歩き出した。
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