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ツキとの筆談を終えて、雅人はあまり面白いとも言えない古典の授業を聞こうという努力はした。
しかし熱弁している教師に対して、生徒の半分は寝ていた。
雅人もそれに習って少しだけ眠ることにした。
その中で、不思議な夢を見た。
「ここは……」
『月読尊の世界……いや、私の生み出した世界かな?』
何もない真っ白な世界に、その男は立っていた。
全体の輪郭がぼやけて顔がよく見えないために、声だけで判断するしかない。
「誰だ?」
『いずれわかるさ。それより、君に伝えなければならないことがある』
男の声は急に真剣なものになった。
『今の君の敵はかなりの力を誇示していると言ってもいい。そして、あの姿は仮のものだ』
「仮のもの?」
『そうだ。あれは私ではない……戦う時は、決して手加減などしてはいけない』
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