12442人が本棚に入れています
本棚に追加
/1005ページ
『でも折川先輩は陸上の全国大会も経験してるんだよ?』
『ついさっき知ったわ。本当かどうか怪しいものよね~。男の才色兼備ほど裏に何かあるものよ』
そんな舞の挑発に対して、雅人の隣にいる司は余裕の表情を保っていた。
これを舞の愛情表現だと思っているのなら、ある意味重症である。
『ところで折川先輩、先輩が負けたらもう私に近付かないっていう約束は覚えてますか?』
マイク越しの舞の声を聞いた観客は、その話に驚いていた。
その情報は周知のものではなかったらしい。
「覚えているさ。大神雅人が負けたら君が僕の彼女になるという約束もな」
『それはよかった。ちなみに雅人が勝つんで後者の方は是非忘れてくださいね』
『舞さ~ん、あんまり挑発するのはよくないですよ~。それではお二人はスタートラインに着いてください!』
舞に負けず劣らずの微妙な笑顔を見せた沙耶の声とともに、二人はスタートラインで構える。
『位置に着いて!!』
雅人は中学時代にやったクラウチングスタートを思い出し、それっぽく構えた。
最初のコメントを投稿しよう!