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『ヨーイ!!』
雅人が顔を上げると、ツキが大きく手を振っていた。
しかしその笑顔には「負けたら分かってる?」と書いてあった。
パンッ!!
ピストルが鳴った瞬間に『風』を発動し、司と全く同じスピードでスタートダッシュを決めた。
しかも制服で……。
「(さすがは全国経験者……)」
五十メートルを過ぎた時点で司がスピードを上げたことを感じ、雅人も『風』を使ってスピードを上げた。
司は全力疾走しているようだが、それは無駄なことだった。
観客は有り得ない物を見ている目で雅人を見ていることだろう。
そしてトップスピードを維持したまま、僅かに雅人がリードした状態でゴールした。
『ゴーール!!なんと勝者は、大神雅人君だーーー!!』
声のトーンがあからさまに上がった沙耶の口から出たその結果は、最悪の展開と全校生徒の命の危機を呼んだ。
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