第五話:見えない敵と真の敵

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『みんなそこから逃げて!!』 舞は先程の余裕から打って変わって、大声で怒鳴るような声を上げた。 最初は何のことだかわかっていなかった観客も、司の変化に気付き少しずつ離れていく。 「ガァァーーーーーーーーッッ!!」 そして司は、黒い何かに取り込まれた。 「キャァァァァァァァァ!!」 女生徒の叫びをきっかけに、観客の全員その場から逃げ出した。 『この学校から出て!!この事態を校長にも……』 が、それは叶わないものとなった。 学校全体を覆うように張られたのは、紛れもなく結界だった。 『そんな!?』 その間に黒い何かは司を取り込み、完全にその姿を現した。 全身を黒い毛で覆われたそれは、狼の姿をした妖魔へと変化した。 「舞ちゃん、結界を張って!」 舞は常人離れしたスピードで雅人とツキの元まで走ると、グランドの半分程の大きさの結界を張った。
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