決意の向こう側

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「正樹!」 フリアが駆け寄ってくる 震えが止まらない… 「おい!おぼっちゃんよ!」 息を落ち着けて山倉に向き直る。 「いいか、奴の弱点は頭だ。あいつは頭への攻撃だけは防いだ。俺の『重み』の能力を使えば動きを封じる事は出来る。だが俺一人じゃそこまでだ!わかるな!今回だけはてめぇに手柄をくれてやる!」 こいつ…俺に… 震えを止めなきゃ 下手をしたら山倉を巻き込む事になる… 深く…深く息を吐く… 体内の酸素を全て吐き尽くす… そこで身体の力を抜く… 空気が…身体に流れ込む 「ハァッ!」 気合い…呼法。 「やれるな…正樹!」 「やるしかないなら やる」 「よし。なら行くぞ!」 Dollに突っ込む山倉のすぐ後を追い掛ける。 山倉の顔面に向かってDollの右手が延びる。 それを左に交わし、腕を巻き付け、そのまま羽交い締めにする。 「俺の重みを味わいな!」 バキッ! 山倉とDollの足が地面にめり込む。 「今だ!やれ正樹!」 「うぉぉぉぉお!!!」 俺の拳はDollの首元に突き刺さる。 「燃えろ!化け物!」 爆発的に発生した火柱が真上に伸びて空を焼く。 火柱が消えた時… Dollは頭を失い、糸の切れた人形になっていた。 「やった…」 膝から崩れ落ちた。 「やるじゃぇか…」 山倉が笑った。 結構イイ顔すんじゃん… 「まぁ!全て俺の名案のおかげだけどな!」 カチン… 「お前まで燃やしちまえば良かった…」 「てめぇ!今ボソッとなんか言ったな!」 「なんだよ!なんも言ってねぇよ!」 「はん!どうせ俺まで燃やしちまおうとか思ったんだろ?」 「か、勝手に決めんなよ!」 「ほら図星だ?全く根性曲がってんなぁ~!」 「おい!てめぇにだけは言われたくねぇな!」 「なんだと!」 「やるか!」 ……………!? その俺達の些細なやり取りを凍りつかせたのは… 拍手だった。
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