違和感への確信と

3/3
4人が本棚に入れています
本棚に追加
/37ページ
「あなたが人間で、一体何が問題なんですか?」 氷水の言葉は果たして彼に届いていただろうか… 男の胸に突き刺さる氷の剣 驚愕した男の顔 そして次の瞬間には… パリン… 男は氷のように崩れた いや…もはや氷だった だが男の破片を見た俺は 氷水に掴みかかっていた。 「この男を始末が任務でしょ?」 「なんで…なんでそんな簡単に人が殺せる…」 「命令ですから。」 ただ淡々と話す氷水 俺は… 氷のように固まった 「やめなさい。正樹。氷水くんがやらなきゃ、あなたがやられてたわ。」 フリアの言葉に手を離し 俺はうなだれたまま帰路についた 氷のカケラとなった無数の魔物たちの道を 「お帰りなさい。」 ミーアさんは屋上で迎えてくれた。 「ただいま帰還しました。」 「報告は指揮官フリアからの報告書にて確認するわ。以上、解散。」 敬礼した後、皆ふらふらと歩き出す。 山倉のダメージは今だに引かず、俺は山倉を担いだまま医務室に向かった。 「あれは…」 氷水とすれ違う とりあえず山倉を運ぶ 「失礼しまーす」 「おや?珍しいね。山倉が担がれるとは…」 白衣を来た30歳くらいの男性がクスクス笑いながら言った。 「そこのベットに寝かせてくれ。正樹くん」 「…俺の事を知ってるんですか?」 山倉をベットに寝かせながら聞いた。 「君は君が思ってより有名だよ。理由はわかるだろ?」 「…はい」 「…背中を痛めてるね。だが背骨には以上なし…どうやら強く押されたらしいな…押し出されたって感じかな?」 なるほど…それがあの男の能力か… 「だが…まだまだだ山倉。氷水の方が重傷だよ」 「氷水が…重傷ですか?」 「あぁ…彼はいつもそうだよ。常に一人で戦い、一人で怪我をして、敵戦力の大半を相手にする。彼はね、自分が死んでも誰も悲しまないと思ってる…自分が殺した時に何も思わないのと同じようにね。」 「わかるんですか?」 「まぁね。生きたい人が死ぬより、まず自分が死ぬべきだと思ってるんだ。どう思う?」 違和感の正体と、答えが出る瞬間だった… 「…正しいけど…間違ってます。」 「そうか…なら君は伝えられるかい?」 「今は無理です。でも…強くなります。」 「ほぉ…」 俺は医務室のドアを開けた。 「期待してるよ」 その言葉を背に受けて、トレーニングルームに向かった。
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!