ナツ編

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「今の男、ナツと同じ学校だろ?」 いつの間にか矢吹さんは割れたグラスの破片を拾っていた。 「うん…。手、ケガしちゃうからいいよ。あたし片付ける」 ほうきとちりとりを持ってカウンターから出る。 矢吹さんは拾った破片をテーブルにそっと落とし、立ち上がった。 あたしは、立ち上がった矢吹さんに急に腕を掴まれ引き寄せられ、態勢を崩した。 気付くと目の前に矢吹さんの顔があって 唇はしっかりと重なっていた。 「邪魔じゃないだろ?」 ──近い。 真っ黒な瞳に、呑まれそうだ 「ちょっと当たった」 あたしの言葉に、矢吹さんは目を細めて笑った。
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