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『悔しいのじゃろ?』
ピタッ
老婆の一言に俺は反射的に立ち止まった。
(ダメだ‥この人の話しは聞いちゃいけない‥!)
俺は直感的にそう思い、駆け出そうとした。
‥しかし
『か、金縛り!?』
身体は俺の意志にそむき、ピクリともしない。
『すこし‥話さないかね?』
老婆の声が聞こえる。
その声は殺伐としていて、まるで抑揚がない‥例えるなら、機械のようなものだった。
『……………』
ヒタヒタヒタ
老婆がゆっくりと音も無く近付いてくる。
未だに動けない俺は、警戒するように老婆を睨む。
『動けないのかい?』
変わらずの機械声だ…しかし俺は、少しこの声に違和感を覚えた。
何だろう?
‥わからない。
『……………』
俺は何も言わない。黙って、近付いてくる老婆を睨んでいた。
『‥‥‥ふっ。』
俺との距離が5メートル程になった時、初めて老婆が表情を変えた。
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