始まりの悲劇

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『ただいま~』 土手から歩いて15分。そこに俺の家はある。ちなみに、早人の家は俺ん家の隣だ。 いつも早人は俺ん家に少し顔を出していくのだが、今日は帰る途中に「用事があるのを忘れてたから、先に帰ってくれ」と言い放ち、どこかにいってしまったのだ。 『お帰りなさい。今日は早人クンと一緒じゃなかったの?』 家に帰るなり、母さんが夕飯の支度をしながらそう聞いた。母さんも早人がいない事に違和感を覚えたのだろう。 『ん?いや、途中までは一緒だったんだけどね。用事があるからって、どっかいっちゃった。』 早人‥いや、深沢家とは家族ぐるみの付き合いであり、長期休みには一緒に旅行に行く事もあった。 『あ、兄さん!お帰りなさい!』 階段から、小柄な少女が元気よく降りてきた。 『お、杏璃…ただいま。』 一柳杏璃(イチヤナギアンリ)…何を隠そう、俺の妹だ。簡単に説明すると、俺より3つ年下で、よく懐いてくれている。 『ささっ、ご飯出来たわよ。杏璃も和哉も、席に着いて♪』
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