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『そっか…こいつ、これを探してたのか……』
早人の手から硬球のボールをとる。その瞬間、もう一生こいつとはキャッチボールができないのかと悟る。今まで気付かなかったが、そう思った途端、急に悲しさが爆発した。
『もう…野球どころか、話す…事さえ………』
…涙が、溢れた。
『嫌だ…早人が死ぬなんて嫌だ!!んな事あってたまるかよ!!!』
一度流れたらもう止らない。俺はなにもかも考えられずにただひたすら泣いた。
『これから…これからだったじゃないか!一緒に野球続けて、一緒に全国大会目指そうって……まだ…まだ始まったばかりなのに…!どうして先にいっちまうんだよ!!お前なしで俺はどうすればいいんだよ…!!!』
死体に何を話しても返事がこないのは分かっている…しかし、この溢れる思いを口にしずにはいられなかった。
『最強のバッテリーになろうって…プロでもバッテリー組もうって……これじゃあお前、嘘つきになっちまうんだぞ…!?お前の一番嫌いな嘘つき…それでもいいのかよ……早人ぉ!!!』
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