始まりの悲劇

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ボーン ボーン ボーン‥ 『………っ!!』 時刻は11時ジャスト。今、深沢家と一柳家が総出で早人の手術が終わるのを待っている。その中には、坂口警部とその部下2人もいた。 『ねぇ兄さん‥早人くん、大丈夫よね?』 今にも泣きだしそうな目で、杏璃は俺に聞く。 『あぁ、絶対に大丈夫だ‥。』 正直、大丈夫かどうかなんて全くわからない。 ただ‥ 『今回の手術は困難を極めています…もちろん全力は尽くしますが、覚悟はしておいて下さい』 と、病院に着いたばかりの俺たちに医者が言った。目を見ればわかる。その言葉に嘘はなさそうだ。 …という事は、最悪早人は‥いや、アイツに限ってそれはない。いつもみたいに「みんな、心配かけてゴメンね。」って、笑って戻ってくるに決まってる。 上を見上げると「手術中」の赤い文字が不気味に光っていた。そして少し視線を落とすと、親たちがとても悲壮な顔をしていた。 バタンッ 『………!』 急に扉が開いた。ふと見ると、手術中のランプも消えている。 『せ、先生!!』 『はっ、はは、早人は…!?』 扉の奥から出てきた医者に、早人の両親は早くも駆け寄っていた。 『……………』 『先生!!』 黙っている医者に、思わず俺も声を荒げてしまう。 『申し訳ありません‥早人くんは…』
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