雨の中の訪問者

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いつも気がついたときには、この冷たい雨が降る。 学校の休み、遠足、修学旅行、運動会、文化祭…   そう…私は雨女。 けど あの日がくるまでは…         私は雨女と、クラスの中でも有名になるほど雨に好かれている。 雨は嫌いなのに… 毎日のように降り続ける雨。 ジメジメする場所や、寒いのは人一倍嫌いな私。 身体が弱く、風邪をひきやすい。 いつもいきなり降り出す雨が私を痛みつける。 だから雨は嫌い。     いつものように下校の時間がくる午後4時頃。 学校の授業がある日は、ほとんど雨は降らない。 今日は曇り空で、いつ雨が降り出してもおかしくない。 「今日も降るのかな?」 私は溜め息をつきながら言う。   「あれ?そういえば明日誕生日じゃない??」 幼馴染みの友達が言う。 私は、ハッと顔を上げる。 そういえば誕生日… 自分の誕生日を忘れるなんて。 もう16歳になる。 高校生になって初めての誕生日。 だけど誕生日は… お母さんが死んでからやらなくなった。   それもそのはず… お母さんは私のせいで死んだのだから。 そして私の誕生日に。   「誕生日プレゼント楽しみにしててね」 と幼馴染みは言い、先に帰る。   私はその後を追うかのように学校を出た。
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