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よく俺はこんな仮想現実の世界へ引きずり込まれる。
小学4年生の時、初めて兄と俺専用に、共用の所有物として買ってもらったCDプレイヤー。
当時は珍しかった「コブラトップ」という機能を搭載したかっこいいやつだ。
それが嬉しくて毎日、毎日ラジオを聞いていた。
石油ストーブの匂いがする部屋。
コタツに入り、漫画本を読む、なんの変哲もない日曜の昼下がり。
その時事件は起こる。
ラジオから、モノラルで土臭い、そして汗臭い、カスッたギターのイントロが流れる。
次の瞬間、どっかの外人が意味の分からない英語で吠えはじめた。
瞬間、俺は感電したかのような強烈なしびれに襲われた!
本を読む手が止まる。
体が動かなかった。
何かが俺の体全体を押さえ付け、心臓をたかぶせた。
不思議と恐怖は無い。
血液が沸騰したかのようにフツフツ、と音を立てているのが分かる。
単調なリフ、モノラルな音、ワイルドな歌声。
それは、東北の田舎町に住むくそガキの元へ、時空を越え、海を越え、国境を越えて届いた、悪魔からの招待状、
ZZ TOPの「TASSHU」だった。
それは運命か、それとも定めか・・・。
その時から、俺の心の奥底には、悪魔が住み着いていて、時折、ロックンロールという地上最悪の黒魔術で召喚されては、俺をその世界へと連れ去る・・・。
俺は待ちわびていた、そんな悪魔が、この退屈な毎日を変えてくれる事を・・・。
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