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やたらと下がうるさい、どうやら親父が帰ってきたようだ。
暗い部屋のベットの上で騒々しさに目をさます。
親父が帰ってきたってことはたぶん、八時くらいか?そんな事を思う。
どうやら
「急に雨が振り出して、傘もないからびしょぬれだよ」
みたいな、そんな感じの事でギャーギャー言ってるらしい。
家の親父はやけに声がでかいし大げさだだから、二階にいても静かにしてりゃあつつぬけだ。
どーやら外は雨がふっているらしい。
ちらっとカーテンをあける。
街頭に照らされながら、その光の道を一瞬雨が通り過ぎ、力なく地面にぶつかっている。
どうやら若干雪も交じっているようだ。
雨音はまんざら嫌いでもない。
すこし布団にくるまって雨音を聞く。
下ではまだ親父騒いでいる。
東北の春はまだまだ遠く、三月に入っても、時折こんな雨が降る。
そんな季節だった。
とりあえず布団をでる。
部屋の片隅で聖なる燈を燃やしているストーブもいつのまにか給油ランプをちかちかさせていた。
「給油かよ」
そうつぶやいてスイッチを切る。
部屋をでると下で騒いでいる親父の声が、また大きく聞こえる。
「おぉ、起きたか、いやぁ父さん雨にふられてなぁ、いやぁ大変だったよ」
「へぇ」
おやじが雨に打たれるとかまぁどーでもいい話だった。
とりあえず風邪はひかないだろう。
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