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すかさずジョーイが脳天を叩き割る100万ボルトのシャウトを観客にあびせる!
「ひるむな!前だ!」
ジョーイがそう言ったような気がした。
俺は夢中でギターを掻き鳴らす!
ジョーイが叫ぶ!
観客のパワーは加速度増してヒートアップする。
俺は必死に食らい付く。
ジョーイのようになりたくて、ジョーイのような男になりたくて、俺は無我夢中でギターを掻き鳴らした。
もう、どこを弾いているのか何を弾いているのか全くわからなかった。
ただ、ただ。何百、何千、何万回と聞いたあの「BLITZKRIEG BOP」だけが繰り返し繰り返し俺の頭に流れていた。
・・・。
ふっ、と我に返る。
俺は漆黒の闇に突如として表れた、未確認飛行物体のようにまばゆい光を放つ、コンビニエンスストアの前に呆然と立ち尽くしていた。
俺はディスクマンのスイッチを切り、イヤホンをはずす。
少し耳鳴りがした。
足のつまさきが冷たい。
下を見るとスニーカーの先っぽがぼた雪で濡れていた。
空から落ちるぼた雪が傘を打つその音だけが、熱く燃えたぎった俺の心を静めるかの様に静かに聞こえる。
水をうったような、静かな、静かな、そんな夜だった・・・。
手にはびっしょり汗をかいている。
俺は小さくため息をして、コンビニエンスストアの中に入った。
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