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「松月美奈!」
「はいぃ!?」
「ぼーっとすんなよ。委員会、終わったぞ?」
嘘っと叫びながら、あたしはあたりを見回して、誰もいないことを確認してしまった。本気でぼうっとしてたみたい。
秋の半ばはもう涼しくて、少し肌寒いくらいだ。外は烏が飛んでいる。
……寒いし、烏に馬鹿にされてるみたい。
「………だから、ぼーっとすんなって。帰んないつもり?」
ぺしっていい音がした。あたしのあたま、楽器にしたら上等な部類に入るかも。
「してないしっ!あたしはあたしで色々考えることがあるんですっ」
「例えば進路の事とか?」
「ギクッ」
「それ、口で言うもんじゃないから」
なんだか冷静に突っ込んでくるこの男は中瀬大地。最近日直やらクラスの席なんかが一緒だったり近かったりする人で、趣味まで合うのかこの間はお兄の店で会った。
あたしのお兄の店は雑貨屋さん。兄弟だからか趣味が合って、すごくあたし好みのものが揃ってる。兄弟のやってる店なんて行かないって皆言うけど、あたしはあんまり気にしないんだ。
あの日も暇だったから、いつものごとく足を運んだお兄の店。
あんなとこでまさか会うとは思わなかったな。
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