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「タキ……」
「ふーん。イトウ、タキっていうんだね！あたしもタキって呼ぶ！」
早く追い返して貰うためにタキを呼んだのにミドリさんが喰らいついてきた。
「違うから。俺はタキって名前じゃないし、もう帰って」
「……それが出来ないのよね」
「……？」
「イトウがあたしを呼んだから、ほら、家出てきちゃった」
「は？」
「家出してきた」
タキがタキじゃないなら、わたしはタキをどう呼んだらいいのか悩んでる間に話しは転がっていた。
「調度親父と喧嘩しててさ、程よくイトウが家に来いっていうから転がり込もうと思って」
べっと舌を出されても笑えない。
わたしはタキと、タキだけと住むんだ。
邪魔される。
嫌だ。
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