からっぽ

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『親が親なら子も子だ』 聞き飽きた。 大きなため息も、自分の子だけを愛でる声も、もう聞き飽きた。 うんざりだ。 タキに会いたい。 でももう会えない。 会わせる顔が無い。 「さつきちゃん……泣かないでくれる?泣きたいのはこっちよ」 「……ごめんなさい」 窮屈なこの家を飛び出した所で、わたしには行く宛てなんて無い。 タキはわたしのせいで捕まってしまったんだから。 喉を押し潰して不満を飲み込んだ。
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