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始まりの記憶の場所は、暑い暑い灼熱のロッカー中。
そんな場所に閉じ込められていた私を見つけてくれたのがタキ。
『何してんの?』
『かくれんぼ』
『鬼はいつくるの?』
『知らない』
『泣かないと見つけてもらえないよ?』
『いいの。かくれんぼだから』
かくれんぼって言って捨てられたんだ。
何も覚えていないのに、それだけは分かっていた。
『……鬼は俺だよ』
『……』
『タキって言える?』
『タキ』
『鬼に見つかったんだから出ておいで』
窮屈なロッカーの奥の奥ににしゃがみこんでいたわたしにタキは手を伸ばした。
[鬼に見つかるまで隠れてなきゃダメよ]
ふいに、誰かの声が耳にわいた。
あぁ、鬼の名前はタキって言うのか。
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