237人が本棚に入れています
本棚に追加
名を呼ぶと、ビクリと肩を震わせ顔を上げた。
「……フィリ、ア」
掠れた返答にうっすら微笑むと、デューイの傍らに膝をつく。
夜目にも判るその表情は、苦痛と悲しみに満ちていた。
「殺して、しまった。この手で…仲間を……っ!」
うつむき加減に目を伏せていたデューイは、堪えていた感情(おもい)を爆発させる。
「殺したくなかった!本当は、殺したくなかったんだ!!けどっ」
「分かってるわ。デューイは優しいもの……。誰も傷つけたくなかった、戦いたくなかったのよね」
固く握って震わす拳をそっと両手で包み込むと、優しげに囁いた。
「デューイは何も悪くないわ。私や、皆を守る為に戦ってくれたんだもの」
「……」
「悪いのはアイツ等よ。デューイの思いを分かってくれないアイツ等……。だから、あなたが苦しむ必要は無いのよ」
言い、涙で濡れた頬にそっと触れた。
「それでも、どうしても辛かったら、我慢しなくていいから…」
「!っ……」
私の前では、泣いてもいい……
ずっと側にいる……
そんな優しい言葉に一気に目頭が熱くなり、フィリアの体にしがみついた。
最初のコメントを投稿しよう!