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パパが可哀相。と、声を詰まらせ、膝の上に置いた両手を強く握りしめた。
信じられなかった。涙を流す事も、悲しい素振りすら見せずに口にした弟の言葉が…
自分が一番不幸?
可哀相?
そうじゃない!
(私は、パパが死んで悲しいから…)
ただ、それだけ…
(私は何も悪くない…間違ってない!)
「我を通してる限り、フィリアには他人の痛みは理解出来ない…か」
「!っ」
弟が口にした言葉(もの)と同じそれを耳にし、フィリアは反射的に顔を上げた。
「まだ12だというのに、レンはしっかりしているな。自分の事よりも、他人の事を思いやっている。それに…辛い表情(かお)一つ見せない。本当に、強い奴だ」
「…強くなんてないわ。あの子は、ただの冷たい子よ」
「フィリア」
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