一 終わりの始まり

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聞き終えるや否や、フィリアはフイッと俯いた。固く引き結んだ唇がわなわなと震える。 「…それは私の台詞(セリフ)よ。まだ子供のくせに、私を守るだなんて、生意気な事…っ」 声が詰まり、涙が溢れる。 さっきまでとは違う想いで胸がいっぱいになった。 バカな子だ。守るのは、自分の方だというのに… 「パパと約束したの、レンを守るって。死なせたりしない、私が絶対に守ってみせるって…。だって、レンだけが、今ではたった一人の家族。側にいて守ってあげなきゃいけないの…絶対に」 そう。フィリアにはもう、家族と呼べる者はレンしかいない。 たった二人きりの姉弟。 もし、弟が死んでしまったら…例えば、父の様に― 「…みんな、アイツらのせいよ。アイツらがいなければこんな事にはならなかったのにっ」
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