一 終わりの始まり

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『ねえ、なんで泣いてるの?』 泣いていた自分に、フィリアは声を掛けてきた。 その心配そうな顔に、抱いていた思いがせきを切って溢れ出した。 『僕を産んだせいで母さんは死んじゃったんだっ。僕が、僕さえ生まれてこなければ死なずに済んだのに……。僕は、生きてちゃいけないんだ。母さんを殺したんだもん…消えて、なくなった方がいいんだっ!!』 自分は、父と姉から大切な存在を奪った。殺した。 だから、二人も心の中でそう望んでるに決まってる。なのに… 『ばかっ。あんたが死んだらお姉ちゃん、一生泣くからね!!』
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