一 終わりの始まり

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返ってきたのは、憎しみとは別の感情(もの)だった。 「…嬉しかったよ。こんな俺でも、姉ちゃんは必要としてくれてるんだって…」 今も胸の内に在るあの日の感触。 泣きながら幼い自分を抱きしめてくれた温もり。 「だから決めたんだ。絶対に死なないって。俺が死んだら、姉ちゃんが泣く。それは、死ぬ事よりもすごく辛いから…」 「レン…」 「今の俺が在るのは、姉ちゃんのお陰なんだ」 そうだ。フィリアがいなければ、自分は今、ここにはいなかっただろう。 闇に心を蝕まれて死んでいたに違いない。
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