一 終わりの始まり

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「……」 「大丈夫だよ、デューイ兄ちゃん」 休んでれば治るよ。 心配そうに見つめるデューイに、レンは笑ってみせた。 疲れてるだけ 本当にそうなのだろうか。と、少年の笑顔に微かな胸騒ぎを覚えた。が、 「デューイ兄ちゃん、今日はありがとう。話、聞いてくれて。なんか、すっきりした」 「レン」 「けど、すっきりしたら、眠くなってきた」 安心したせいかな。と、欠伸しながら横になる。 その行動を、自分に対する退室を意味するものだと感じたデューイは、不安を呑み込み背を向けた。そして、 「…ゆっくり休め」 一瞬だけ振り返ると、病室を後にした。 「……」 ベッドの中で来客を見送ったレンは瞬時に笑みを消し、両手で顔を覆う。 「…まいったなぁ」 自然と溜め息が洩れた。 目が、霞む…
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