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頬に指を当てて唸っていたフィリアはその中の一着に目をつけ、手に取った。
手早く着替え、鏡で身嗜みを整えると、ある人物の所へと向かった―
この日、レンはいつにも増して早く目が覚めた。
姉の久々のステージを楽しみにしていたのもあるが、それだけではなかった。
「レン、起きてる?」
ドアの向こうから姉の声が聞こえ、ベッドに座った姿勢で天井を仰いでいたレンは、二・三度瞬いた後、頭を振った。
「起きてる。入っていいよ」
すると、直ぐさまドアを開けて声の主が入ってきた。
「おはよう、姉ちゃん。どうしたのさ、こんな早くに……」
「今日の舞台衣装、あんたに見てもらおうと思って」
「え」
「悩んだのよ、どれにしようか…。でも、迷いに迷った結果これにしたの。あんたが誕生日に選んでくれたやつ」
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