両親

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俺が声をかけるより先に母さんが俺に声をかけた。 「大輝。久しぶりね」 俺の名前を呼んでニッコリと笑った。 そして父さんも声をかけてきた。 「大輝。元気だったか?」 俺は二人に返事をした。 「あぁ、久しぶり。元気だったよ。って言っても死んじゃったけど」 冗談混じりにそう言った。 久しぶりの親子の会話だ。何年ぶりだろう?20年ぶりくらいかな? そんな事を考えていると父さんがまた話しかけてきた。 「大輝。光りの扉がふたつあって迷っていたろ?こっちが本物だ。よく見てみろ、光りの扉の中を」 そう言って父さんが光りの扉の中を指差した。 光りの扉の中には草原が広がっていた。青い空、太陽に照らしだされて花が凛と咲いている。その花に寄り添うように蝶がまっていた。 とても綺麗な世界だ。 でも俺は確かめなければならない事があった。 この二人が本物かどうかってことだ。 俺はそれを確かめるために父さんに話しかけた。 「この時計を覚えてる?父さんの形見の時計だよ。大切に使ってたんだ」 「あぁ、覚えてるとも、大切に使ってくれてたのか」 その言葉を聞いて俺は後退りした。 そしてこう言った。 「闇の者め!!この時計は俺が自分で買ったんだ!!」
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