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ここはどこだ。
気がつくと俺は暗闇の中にいた。目に写るすべてが暗闇、遠くを見てるのか、近くを見ているのかすら分からない。
周りを見渡しても一面暗闇だった。
俺はその場から動けなかった、全く先が見えないのもあったが1番の理由は“恐怖”だ。何も見えない恐怖。
そのうち“不安”や“孤独”や“絶望”といった感情も入り交じる。
「誰か、誰かいませんか?!」
虚しく自分の声だけが暗闇に響いた。
無限に広がる暗闇、この暗闇の中では時間の感覚が麻痺する。いったい目が覚めてからどのくらいの時間がたったのかわからない。1時間にも感じるが10分程度しかたってないきもする。
俺は静かな時間の流れの中で考えはじめた。
「俺…死んだ?確か、会社帰りに信号待ちしてたら子供が道路に飛び出して…そうだ!!俺はその子供をかばって車にひかれた……俺、死んだのか?」
不意に暗闇から声が聞こえた。
「思いだしたようですね。あなたは死んでしまったのですよ」
「誰だ!!」
俺は周りを見渡した。だが暗闇が広がるばかり、全く何も見えない。
またどこからか声がする。
「私はあなたを導く者です。今あなたがいるのは天国と地獄そして、生前あなたが生きていた世界との狭間。この世界は生前に誰かを救うために自分の命を犠牲にした者の魂が訪れる場所なのです」
「やっぱり俺は死んだのか…」
正直ショックだった。現実を受け止められずに呆然としていると、謎の声は続きを話しはじめた。
「ですが、この世界から抜けだし、生前の世界に戻る方法が1つだけあります」
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