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目の前に広がるのは深く暗い闇で、光の届く場所なんて、僕は知らなかったんだ。
君に出会うまでは・・・。
差し出してくれた手を、僕はきっと忘れない。
ひとりぼっちの僕を君は見つけてくれた。
誰も寄せつけず、噛みついてばかりいた僕。どれだけ拒絶して傷つけても、何度も何度も僕にぶつかってきてくれた。君だけが、本当の僕を見てくれた。
人の心の中に土足で入り込んできた無礼な人。だけど、君はいつも真っ直ぐだった。眩しすぎて見つめられないくらいの、君の存在に救われた。僕は、人を愛することを知った。
頑張ってるよ僕? なんて、もう二度と言わないよ。君が教えてくれたから。
本当に頑張っている人は、そんなこと言わない。
知ってるよ・・・。
君の背中を、ずっと見てきたんだから。
君の背中を、ずっと追いかけてきたんだから。
僕は学ぶよ。
生きることを諦めた僕に、君が教えてくれたこと。
ねぇ僕は、君と同じものを見ていきたいんだ。
何にも興味を持てなかった僕に、君は関心を与えてくれた。無表情だった僕に、感情を与えてくれた。 僕も、人の心を知った。
君が僕に手を差し伸べてくれたように、今度は僕が、君の役に立ちたい。
僕は思うんだ。人は、大きくなればなるほど得るものよりも失うもののほうが大きい。
ねぇ、今僕は何を手に入れられたかな。
何を失ったかな。
僕に、心を癒す方法ではなく背負う覚悟を教えてくれた、いつまでも愛しい人。
君は笑っているかな。
君の唯一の、僕の知らないかけがえのない人の隣で・・・。
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