第三章

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駅につき最終の電車を待っていた。私達はまだ手を繋ながら、ベンチに腰掛ける。 今までは二人でいて、無言でも全然平気だったのに…。 顔が火照ってる…。 圭介の顔が見れない。 その時 「圭介~♪」 どこからともなく声がしてくる。 すると、ロングヘアーの可愛い女の子が近寄ってきた。 圭介が、今まで握っていた手を焦たように離す。 (えっ…) 「なに、圭介こんな時間にどうしたのぉ♪」さっき声をかけた子とその友達が近づいてきた。 「ちょっと用事があったんだょ」 「ふぅ~ん。そっちの子は?」 「ただの幼なじみだょ」 「そうなんだぁ、じゃあ、電車きちゃったから、またね~♪」 「おぅ」 圭介が手を振る 手を急に離したのは、あの子のせい? 私との仲を疑われるのが嫌なんだ……………………………。 そうだ、今のこの優しさも長年の幼なじみとしてのもの。私達は友達なんだから当たり前だょね…。そぅ、当たり前の事……………。 私のなかで、芽生え始めていた気持ちを封じ込め、初めからそんな気持ちなかったようにする。そぅ、今日感じた気持ちはすべて偽物。あるはずのない感情。 そんな事を考えながら、必死に涙と自分の感情を押し殺していた。 気がつくと家の前に立っていた。 電車に乗り、家に着くまでの間ずっと、さっきの子の事を考えていたんだ。
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