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「いやー、タニアちゃんはいつ見ても可愛いねぇ。どう? 今晩、一緒に飲み明かして――ぐはぁっ!」
ノーモーションで裏券を叩き込む。
夜の集会所はいつもより人が少ないとはいえ、受付嬢をナンパしようという喧しい馬鹿は迷惑にしかならぬ。
心を鬼にして隣の相棒の顔面を殴らせてもらった。
「これが今回の収穫だ。フルフルの皮と体液。ギルドに献上するよ」
「はい、ありがとうございまーす」
目の前でグラムが殴り倒されたにも関わらず、全く動じない受付嬢――タニアって言ったか。
商売の心得をしっかり理解している。関心関心。
……ちなみに、この受付嬢の名前を今まで知らなかった事は置いておく。
受け取ったフルフルの素材を手に取りながら、カウンターに置かれたメモにペンを走らせるタニア。
今回の依頼の報酬を、テキパキと計算している。
クエストで手に入れたモンスターの素材をどうするのかは、ハンターに一任されている。
納品して欲しいという依頼なら話は別だが、今回の様に飛竜を退治してほしいという依頼では、モンスターの素材をどう扱おうが自由なのだ。
自分の物にしてもいいし、今回の俺達のように、ギルドに献上して金に換えるという選択肢もある。
「――そして依頼主の成功報酬が損失無しの5400、っと。はーい、今回の報酬が出ましたー。売却した素材を合わせて9584ゼニーですねー」
「――おおぅ」
予想以上の金額に驚いてしまった。
約10000ゼニー。
今まで受けた依頼の中でも最高額の報酬だ。
「スゲー! 二人で分けても5000ゼニー近く手に入るぜ。コレで武器を鍛える資金も手に入ったぜ!」
いつのまにか復活したグラムが興奮しながら叫ぶ。
ひゃっほーやったぜー、なんて騒ぎながら飛び跳ね始めた。ウゼぇ。
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