二匹の怪物

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      フルフルを倒してから、一週間が過ぎた。       昼の集会所の片隅、小さなテーブル席で暇を持て余している俺。   勿論、好きで持て余しているわけではない。   それというのも――     「依頼が無い……」     そう、依頼が全くねぇのである。   ある事にはあるのだが、大概が新米ハンター向けの簡単な納品クエストで、飛竜討伐などの狩猟クエストが一つも無いときた。   この村で、依頼に困るという事はかなり珍しい。   だが、その珍しいことのおかげで、俺やグラムのように飛竜を狙うハンターは、こうして暇を持て余しているのであった、まる。       「はぁぁぁー……」     やたらと大仰な溜め息を吐きながら、グラムが俺の席に向かってきた。   やっぱり依頼が見つからなかったのだろう。     「どうだった?」   「ぜぇんぜんダメ。キノコ狩りやら薬草摘みやら、そんな依頼しか無かったぜ」     疲れ果て、どかっと椅子に腰を下ろすグラム。   相変わらず他人様に迷惑をかけるヤツだが、まぁ気持ちは判らないでもない。     「くそーこんなことだったら、もうちょっと財布の紐を締めておいたんだけどなぁ……」   「自業自得だろうが。ちょっと金を手に入れたからって、散々飲み食いしたテメーが悪い」   「つれないぜーキリエー。今日の昼飯ぐらい奢ってくれよー」   「ふざけんな。俺だってテメーの暴飲暴食に付き合ったんだ。恵んでやれる金なんて1ゼニーも無ぇっつーの」     そんな感じで、ダラダラとダメ人間な会話をしている時だった。
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