二匹の怪物

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「「は?」」     いきなり、不躾な質問をかましてくれる少女。   初対面の相手にかける言葉としては、少々、礼儀に欠ける言葉である。       ――――初対面?   あれ? 俺、この娘を何処かで見たような気が……。   ………。   いや、気のせいだろう。   大体、これほどの美貌を持つ少女だったら、いくら頭の悪い俺でも記憶に残る。     「いや、受付の娘に聞いたんだけど、キミ達が一番ヒマなハンターだって」     少女の声で思考が中断する。   つーかタニアめ。そんな事を言っていたのか。憶えていやがれ。     「まぁ、確かにヒマではあるけどな……だからどうし――」   「うん! ヒマヒマ! すげぇーヒマ! だから君と一緒にゆっくり語り合いたいと思っていたところサー!」     警戒心0。下心だけで動いているんじゃないかと思わせる生物が俺の台詞を遮る。   グラム……お前は今すぐ死んでくれ。     「うん、ありがとう」     ニッコリと、満面の笑みを浮かべて満足気な少女。   最早、話を聞かないという選択肢は消えてしまった。   つーか俺、蚊帳の外です。     「それでそれで? 何か聞きたい事でもあるのかなー?」     ニヤニヤと気持ち悪い面をしながらグラムが少女に問う。     「ん。その前に自己紹介するね。私の名前はシオン。ついこないだポッケ村に来たの。よろしくね」   「シオンちゃんかーいい名前だねー。俺はグラム。で、こっちの無愛想なのがキリエ」     無愛想? ……否定が出来ん。       まぁ、何はともあれ、俺達は少女の話を聞く事になってしまった。   先程、感じた微かな既視感が気になるが、とりあえず放っておく。   ただ、忘れているだけなら、無理に思い出す必要も無い。       どうせ、思い出すのも難しい些細な出来事か、 ・・・・・・・・  思い出したくないようなロクでもない出来事に違いない。
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