《手紙と天使と小さな願い》

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男には、将来一緒になろうと約束をした相手がいました。 しかし、それでも天使は想いつづけていました。 ある日、男の元に1通の手紙が届きました。 それは、戦場で国のために尽せというものでした。 数日後、戦場へと向かう汽車のなかで、男はうつ向き呟きました。 消え入るような、それでいて強く響くような声で。 「彼女と共に生きていたい」と。 天使は、男に聞こえない声でささやきました。 「どうか幸せに。       あなたの幸せは、私の幸せです」 天使は涙でぬれた頬に笑顔をうかべると、はじけるように消えてしまいました。 汽車の中では、終戦の知らせが流れていました。
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